
診療内容
耳の病気
Ear disease急性中耳炎、滲出性中耳炎
急性中耳炎は、細菌やウイルスが感染して引き起こされる中耳の炎症で、耳の痛み、発熱、耳閉感、一時的な難聴が現れます。治療には抗生物質が使用されます。
滲出性中耳炎は、感染を伴わず中耳に液体がたまり、耳閉感や軽度の難聴が現れます。痛みはなく、液体は自然に排出されることもありますが、長期化すると聴力に影響が出ることがあります。
両者の違いは、急性中耳炎は感染による急激な発症、滲出性中耳炎は液体の滞留が原因で症状が現れる点です。

難聴
難聴は、音が耳を通じて脳に伝わる過程に障害が生じ、音を聞き取りにくくなる状態です。
主な原因は、加齢、騒音、耳の感染症、耳垢の詰まりなどで、症状には音が聞こえにくい、会話が理解しにくいなどがあります。治療は原因により異なり、補聴器や手術が必要な場合もあります。
加齢性難聴
加齢性難聴は、年齢とともに耳の機能が衰え、高音が聞き取りにくくなるのが特徴です。早期の発見と対策が重要です。
日本の80・30キャンペーン(聴こえ8030運動)は、80歳で30dB(聞こえの閾値)の聴力を保つことを目指す国民啓発運動です。加齢性難聴の周知や、耳鼻科での聴力検査の受診を促すことで、聴力低下を予防することを目的としています。
難聴予防には、騒音を避け、耳のケアや栄養管理が効果的です。聴力に不安を感じたら、早めに専門医を受診しましょう。
外耳炎
外耳炎は、外耳道に炎症が起こる疾患で、細菌や真菌、アレルギーが原因です。
症状は耳のかゆみ、痛み、耳だれ、詰まり感などがあり、過剰な耳掃除や水の侵入が主な原因です。
治療には抗生物質や抗真菌薬、耳の洗浄が使われ、早期の対応が重要です。
鼻の病気
Nose disease花粉症
花粉症は、花粉が原因で免疫反応が過剰になり、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状が現れる疾患です。主に春のスギやヒノキの花粉が原因ですが、他の季節にも発症することがあります。免疫反応が過剰になることで、ヒスタミンなどの化学物質が分泌され、アレルギー症状が現れます。
治療には抗ヒスタミン薬や点鼻薬が使われ、症状の緩和が図られます。また、予防には花粉を避けることが効果的で、外出時にはマスクや眼鏡を着用したり、帰宅時に衣服を洗うことが推奨されます。

アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ、ペットの毛などのアレルゲンが原因で、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどの症状が現れる疾患です。アレルギー反応により鼻の粘膜が炎症を起こします。
治療には抗ヒスタミン薬や点鼻薬が使われ、アレルゲンの回避が予防に有効です。
急性副鼻腔炎・慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周りの空間)の感染により、鼻詰まり、鼻水、頭痛、発熱などの症状が現れる疾患です。風邪やアレルギーによって副鼻腔が炎症を起こし、細菌やウイルスが感染することで発症します。通常、治療には抗生物質や鎮痛薬が使われ、軽症の場合は自然回復もあります。
慢性副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎が治癒せず、症状が3ヶ月以上続く場合に診断されます。
鼻詰まり、粘り気のある鼻水、頭痛、嗅覚障害などが持続的に現れます。原因としては、長期間のアレルギーや鼻の構造的問題が関係していることがあります。治療は、薬物療法や鼻の洗浄、場合によっては手術が必要になることもあります。
鼻出血
鼻出血は、鼻の血管が破れて出血する状態です。
主な原因は乾燥、強い鼻かみ、アレルギー、風邪や外的な衝撃です。軽度の場合は、鼻をつまんで前かがみになると止まることが多いですが、頻繁に出る場合や止まらない場合は医師の診察が必要です。
喉の病気
Throat disease急性咽頭炎
急性咽頭炎は、喉の粘膜に炎症が起きる疾患で、主にウイルスや細菌が原因です。風邪の症状としてよく見られ、喉の痛みや腫れ、発熱、飲み込み時の違和感が特徴です。
ウイルス性の場合、症状は軽度で、鎮痛薬やうがい薬で対処しますが、細菌性の場合は抗生物質が必要となります。通常は短期間で回復しますが、症状が長引く、または悪化する場合は医師の診察を受けることが大切です。

急性咽頭蓋炎
急性咽頭蓋炎は、咽頭蓋(のどの奥にある軟らかい組織)が炎症を起こす疾患です。咽頭蓋は、食物が気道に入らないように喉を保護する役割があります。急性咽頭蓋炎は、主にウイルスや細菌感染が原因で発症します。ウイルス性のものは風邪の症状として現れ、細菌性のものはより急激に進行することがあります。
症状には、喉の激しい痛み、飲み込む際の違和感や痛み、発熱、そして場合によっては呼吸困難や唾液を飲み込むことが難しくなることがあります。特に細菌感染の場合、迅速に治療が必要です。
治療は、原因に応じて異なります。ウイルス性の場合は対症療法(鎮痛薬やうがい薬)で管理しますが、細菌性の場合は抗生物質が必要です。早期に適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
声帯ポリープ
声帯ポリープは、声帯にできる良性の腫瘍で、過度の声の使用や喉への刺激が主な原因です。症状としては、声のかすれや喉の異物感があり、特に声を出すときに違和感を感じます。
診断は内視鏡検査で行われ、軽度の場合は声の休養やケアで改善しますが、症状がひどくなると手術が必要になることがあります。予防には、声を使いすぎないことや喉を守ることが重要です。
嚥下障害
嚥下障害は、食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができない状態です。原因には脳卒中や神経疾患、加齢などがあります。
主な症状は、むせや飲み込みにくさ、咳き込みです。治療はリハビリや薬物療法、食事の工夫が必要で、早期の対応が重要です。
咽頭異物
咽頭異物は、喉に異物が詰まる状態です。食べ物や小さな物、骨などが原因となることが多く、特に子どもや高齢者に多く見られます。
症状としては、喉の違和感、痛み、咳き込み、呼吸困難などがあります。
治療は、異物が喉に詰まった場合、喉の内視鏡で取り除くことが一般的です。誤って異物を飲み込んだ場合でも、早期に処置を行うことが重要です。呼吸困難が生じた場合は、緊急処置が必要です。
いびき
Snoring睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に気道が閉塞し、呼吸が一時的に停止または浅くなる疾患です。これにより、酸素供給が不足し、睡眠の質が低下します。無呼吸のエピソードは数秒から数分続き、夜間に何度も繰り返されることがあります。
主な症状は、いびき、寝ている間の呼吸停止、日中の強い眠気、集中力の低下などです。これらの症状が続くと、心血管疾患や高血圧、糖尿病などのリスクが高まることがあります。
治療法としては、軽度の場合はライフスタイルの改善(体重減少、アルコールや喫煙の制限、寝る姿勢の変更など)が推奨されます。重度の場合は、CPAP(持続的気道陽圧法)という機器を使用して、気道を開ける治療が行われます。また、手術が必要な場合もあります。早期に診断・治療を行うことで、症状の改善や合併症の予防が可能です。

CPAP治療
CPAP治療(持続的気道陽圧法)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法で、睡眠中に気道を開けるために一定の圧力をかける方法です。CPAP装置は、鼻または口に装着したマスクを通して、気道に陽圧を供給し、呼吸停止を防ぎます。これにより、酸素供給が安定し、質の良い睡眠が得られます。
主な効果には、無呼吸の改善、睡眠の質の向上、日中の眠気の軽減があります。また、心血管系の健康や認知機能の改善にも寄与します。治療は、医師が設定した適切な圧力で使用し、装置やマスクは個人に合ったものを選びます。
副作用としては、乾燥感や鼻づまり、マスクの不快感があることがありますが、加湿器の使用やマスクの調整で対処可能です。継続的に使用することで、症状の改善が期待でき、特に中等度から重度の無呼吸症候群に効果的です。
めまい
Dizzinessメニエール病
メニエール病は、内耳にある「蝸牛」と「前庭」部分の異常により、めまい、耳鳴り、難聴などの症状が現れる疾患です。
主な症状は、回転性の強いめまいの発作、耳の詰まり感や耳鳴り、そして進行性の難聴です。これらの症状は、特に発作的に起こり、数分から数時間続くことがあります。
原因は完全には解明されていませんが、内耳の液体の圧力の異常や、ストレスや血流の問題が関与しているとされています。メニエール病は、通常片耳から始まりますが、進行すると両耳に影響を及ぼすこともあります。
治療法には、抗めまい薬や利尿薬を使用して症状を緩和する薬物療法、食事制限(塩分制限など)、ストレス管理が含まれます。重症の場合は、手術を検討することもあります。早期発見と適切な治療が、症状の進行を遅らせるために重要です。

良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、頭の位置を急に変えたときに起こる短時間の回転性めまいが特徴的な疾患です。この病気は、内耳の「前庭」にある小さなカルシウム結晶(耳石)が誤った位置に移動することによって発症します。耳石が平衡感覚に影響を与えることで、めまいを引き起こします。
主な症状は、急に頭を動かすことで回転性のめまいが生じ、特に寝返りを打ったり、頭を上げたり、横向きに寝る際に症状が出やすいです。めまいは通常数秒から数十秒で収まり、安静にしていると改善します。原因としては、加齢による変化や、外的な衝撃、頭部の怪我が関係していることがあります。耳石が内耳の前庭部分で位置をずれることが主な原因です。
治療法としては、エプリー法という特定の頭の動きで耳石を元の位置に戻す方法が有効です。また、薬物療法やリハビリテーションが行われることもあります。良性発作性頭位めまい症は、適切な治療により症状が改善しやすいため、めまいが頻繁に起こる場合や長期間続く場合は、耳鼻咽喉科での診断を受けることが重要です。